人は旅をする。だが、その旅はどこかに在るものではない。旅は旅をする人が作るものだ。 紀行文学の金字塔『深夜特急』の誕生前夜からその後まで、生成変化の<旅>論を収めた『旅する力』の序章で沢木耕太郎が語っている言葉だ。沢木によると、だいたい26歳前…
何かを成し遂げる人にはその相が顔に現れる。凡人とは違い、特徴的で印象的な何かがあるのだ。人相学もまた、古代中国では帝王学として、体系化されてきた学問のうちのひとつだ。史記に描かれている黄帝の人相は、いわゆる切れ長の目に盛り上がった額が特徴…
先日、縁あって成田山新勝寺で座禅体験をしてきた。座禅というのは所謂、禅宗と呼ばれる曹洞宗、臨済宗のもので、新勝寺は真言宗だ。真言宗の座禅を「密教座禅」といい、普段は臨済式の座禅を実践している俺もはじめての体験だった。 どういう違いがあるのか…
今でこそ漫画を読まなくなったが、学生時代は漫画に没頭していた。そのせいか、わりと自分の中の価値観の軸になっているものが、漫画から吸収した知識だったりもするのだ。おそらく1980年代近辺で幼少期にバブルを過ごした同年代くらいの方は、そういう人も…
数年前にドバイの王族とも親交を持つ、とある億万長者と知り合った。俺よりも幾分か年が上なのだが、パッと見た感じは実年齢よりも若めのあんちゃんみたいで、とてもじゃないが成功者には見えない。落ち合った場所も新宿駅近くのごく普通の喫茶店で、その人…
古代中国では「運命学」という体系だった占術を学問の一つとして扱い、帝王学としても重用していた。『予知』とは五感、五知、四時を用いて、三界に現われる有形、の事象を知る力をいう。『予測』とは五知、四時を用いて、三界に現われる有形の現象を計る技…
言葉とは何だろうか。それこそ哲学の探求は言語の解明であることは、ウィトゲンシュタインにはじまり、デュルケム、フロイト、ソシュール、カッシーラーやランガー、マルセル・モースなどに受け継がれてきた。しかし、そんな西洋の言語論とは隔絶して、「言…
某所にもとめられて書いた、約500文字の書評。 俺が単一の書籍について語ることは少なく、公開するのもまた乙なものだと思った。この詩集は俺の人生においてもマスターピースといえる重要なものなので、ひとりでも手にとってみてくださる方がいることを願う…
人は惰性で生きる。変化を嫌うものだ。しかし、時に焦燥感に駆られ、冒険に繰り出そうとする。または不意に今の環境から抜け出し、まったく違う土俵の上に立ちたいと願うことさえある。しかし、多くの人が何も捨てることのないまま、今そのままの状態で、人…
チャン・イーモウ監督最新作『SHADOW/影武者』を公開初日に観てきた。チャン・イーモウというと色彩の魔術師として、VFXを駆使した絢爛豪華な独自の世界観と武侠アクションというのがお約束なのだけれど、今作は「自分が本当に撮りたい物語と巡り合った」と…